002

ハッピーライフ



「いらっしゃいませ。
ここは幸せ屋。
ささやかな幸せ、
大きな幸せ、
色々取り揃えています。」

傷付くのに疲れた男
迷わず貯金をおろした
「これで買えるだけの幸せを売ってくれ」
すがるような声は
狭い店内に響き渡った

やっと手にした幸せなのに
男はとても不服そうに
「これっぽっちじゃ何も変えられない」と呟いて
床に叩きつけ店を出ていった

一文無しで街を彷徨う
失えるのは魂ぐらいか
このまま朽ち果ててしまえれば
どんなに楽だろうか

全財産と引き替えに
手にしたモノは「不老不死」
これっぽっちじゃ何も変えられない
何も変わらないという幸せ
それを幸せと呼べない不幸せ

「いらっしゃいませ。
ここは幸せ屋。
ただいま、割引セールを行なっています。」



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