021

花鳥風月



離れて逝く想いはもう美しくない
餞のことばさえ撰んでしまう
最初から凡て誰かに造られた
話だとすれば少しは綺麗に散れるかな

とりあえず振った手の鼓動も途絶え
取りとめのない偽りも最期を告げる
午後六時の闇の匂いは色とりどりで
取り返すことが出来ないように仕組まれている

果然孤独は臓器を丁寧に貫いて
風邪をひくような感じで襲う痛み
頼りない安らぎを掻き集めて眠る
櫛るような夢を観る

付き纏う苛立ちに躰を委せたい
吐き飽きたことばさえ憾んでしまう
縷な悔いが凡てを蝕んでいく
叢雲は此の私であったと気付く



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