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冷たい手



なんて白く細い部品…
護るのは精密な内部でしょうか
それとも
存在すらしない我が身でしょうか

又しても厄介な仕事が入りました
ほんの少し息を止めなければなりません
そしてもし無事なようでしたら
貴方から先に声をかけて欲しいのです

その冷たい手が
私を温め得る唯一の手段
なんて身勝手な…
自覚のみを免罪符に
水の中潜るのです

貴方のそばでも
やはり息はできないのだけど
冷たい手に触れて
呼吸など大した問題ではないと気付く

それでも
白く細い部品を
冷たい手に絡み付けたいが故
護らなければならないのです
存在すらしない我が身とやらを。
なんて厄介な…。



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