032

ガラス



別れを告げないで
その視界から
消えてしまいたい。

窓ガラスみたいね。
叩き割らなきゃ
証明できないなんて…。

悔やまなくていいから
散乱した欠片を
その手で集めてね。

「共有したい。」
この我儘で
切実な想いが

散乱した欠片を
まるでナイフのようにした。

別れを告げなくても
その身体から
零れてくると思うの。

透明の中に悲しみを
深紅の中に憎しみを
零れた欠片まで
きちんと集めてね。



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