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さがしもの



母親が必死で何かを探してた
引き出しの奥までひっくり返してた
何を探しているのか聞いてみたらそれは
目の前の机にちょこんと乗っていた

母親が不注意だったと言うよりは
探し物はいつもこうなのかも知れない
見つけ出したいという想いが強いほど
目の前にあるものすら見えなくなる

例えば僕は答えを探してた
愛する人を疑ったりもしていた
それらしきものをやっと見つけた時には
教えたい人は姿を消していた

見つけ出すのが遅かったと言うよりは
探し物はいつもこうなのかも知れない
見つけ出したいという想いが強すぎて
本当の目的すら忘れてしまう

今でも二人で何かを探してる
見つからないことはとっくに気付いてる
何を探しているのかなんて問題じゃない
目の前にあることを当たり前に思わない為

掌から零れ落ちていくと言うよりは
探し物は生きているという証明
見つけ出したいという想いが強すぎて
本当の目的すら忘れてしまって
その都度傷付け合いながらまた消えていく
少しずつ積み上げながら無くしてく

8/31 6:27

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