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紙飛行機



彼は一枚の紙切れに
果てしない空を描いた
教わったとおりに組み立てて
誇らしげに空へ放った

だけど一枚の紙切れじゃ
彼の夢は大き過ぎて
歪な羽根はもがくように
現実世界へ落ちていく

叩きつけられて汚れて
それでも諦め切れないで
繰り返し空へ放って
繰り返し落ちていく

彼は一枚の紙切れに
絶望と怒りを感じた
感情のままに破り捨て
悔しさと共にばらまいた

粉々になった紙切れは
地面に落ちず舞い上がり
歪な形で風に乗り
誇らしげに空に消えた

叶えられなくて嘆いて
それでも諦め切れないで
繰り返し空に放てば
いつかきっと空に消える

9/9 6:40

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