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アイノウ



あの頃よりは歩幅が広くなったのも
一つの理由だろうけど
すっかり小さくなってしまった この街

繰り返すことがその全てと気付くのに
幾つの季節を費やした?
すっかり小さくなってしまった この俺も

あの山の向こうには
似たような住宅街があるんだよ
知ってしまった
太陽の寝床とか
月の帰る場所とかはないんだよ
知ってしまった

有限の空に無限の雲を眺めてた
相変わらず手は届かないけど
水の固まりに見えてしまった あの雲

知らないことをひたすら埋めて見渡せば
落し穴のない平坦な道
つまづく石も無いはずなのに 何故か転んだ

あの空の向こうには
とても広い無重力世界があるんだよ
テレビでやってた
太陽の黒点は
少しだけ温度が低い部分なんだよ
学校で習った

あの頃よりは歩幅が広くなったのも
一つの理由だろうけど
つまづく石もないはずなのに 転んだ

9/18 9:23

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