234

時計の針だけ誠実な世界



ややこしい表現になるのは
少しでも長く話していたいから
それもあるけど本当のところは
単純な想いを育てたいから

判らないものぶつけて
さらに判らなくなって拗ねて
わざと困らせてみたり
それでも見えない明日は
期待に包まれた不安越しに
見飽きた街並を映す

退屈な表情が吐き出す
ある程度角を削った言葉から
たまに顔を出す本当のこころは
退屈な表情に失望していたり

判らないものぶらさげて
でっぱったとこに引っ掛かって
散らばったりしているだろう
それでも見えない私は
機械に埋め込んだ君の破片に
聴き飽きた口唇を描く

時計の針だけ誠実な世界
愛って文字をなぞることに躊躇
解けない嘘すら誠実な夜は
君の名前を呼ぶことで
ちょっとだけ不眠症が治る

時計の針だけ誠実な世界
単純な想いをどんだけややこしくできるか競争
解けない嘘すら誠実な夜は
君の名前を呼ぶことで
ちょっとだけ夜明けが早くなる

1/3

前へ/次へ
リストに戻る