改札口に向かいながら はぐれそうな君が手を繋いでくる ただそれだけでも こんな人の多い曜日を 選んだ意味はあると思う 改札を抜けてしまえば 恋人みたいだった魔法は解ける 繋いでいる手が 切符をさがす鞄に逃げて 温もりと共に寂しさが残って 君を好きにならなければ こんなに長い夜もなかった 知らない男と楽しそうに笑う 妄想を浮かべることも無かったのに 大切なものが増えていく 大切にする順番をつけてしまう 好きになることに 計算力が必要になって 大人になったフリをしている 改札を降りたタクシー乗り場 恋人の待つ部屋に君は消える 繋いだ唇を 割り切れない僕はこのまま 君の方程式を魔法に思うのか 君を好きにならなければ こんなに青い闇もなかった 月明り照らす雑踏の中で 寂しさを感じることも無かったのに