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秋桜



秋桜咲き乱れる丘
来る筈もない君を待つ

飲み込んだ言葉は
涙となって吹き出して
少し冷たい風に溶けて
青い空の部品となる

あの日届かなかった優しさが
今頃何処かで
誰かの不器用な愛を
そっと埋めているなら
この寂しさも悪くない

すれ違う気持ちが
視線の向きで絡まって
ややこしい嘘を従えて
やっぱり青い部品となる

秋桜を揺らす風が
懐かしい君の声を運ぶ

色づいた記憶が
まるで牢獄に見える夜は
時計の針が胸に刺さって
痛みは青い灯りに消える

あの日届かなかった手のひらが
今頃温かくて
誰かの不器用な愛を
そっと撫でているから
二人の時間は間違いじゃない

秋桜咲き乱れる丘
来る筈もない君を待つ 

2005/11/04 18:49

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