498

欲槽



あと一つで途絶える絆
この闇は僕の許容範囲だろうか?
貯蓄できない君の声が
あの死神にそっくりで
そんな風にしか我が身の疲労を知り得ない

不快な鳴き声で瞼を開く
命綱だらけのこの部屋に
心臓の欠片が幾つかあるらしいよ
そんなものより五分の静寂を欲するから
やっぱり疲れてるんだろう

願わくば万事適度であれ
ボケない程度にぬるま湯で
たまに水しか出なくなる
うちの風呂釜みたいなのが愛しい
涙の数だけ冷めてしまうから
手に入る頃には曖昧で
下手すりゃカタチを持たなくても
うちの風呂釜みたいな
必要最低限の温もり
そんなんが愛しい

慣れるということは
終焉を手繰り寄せること
明日も壊すのだろう
この大切な時間達を
矛盾は重なり合うことで
大きな真理を築くのだろう

願わくば惨事(あるいは賛辞)適度であれ
ボケてしまっても前向きで
慣れというのは素晴らしい
うちの風呂釜みたいに
喉元過ぎれば都
涙を流して時に演じて
本心なんて本人すら把握してない
真実なんてそこに無くても
うちの風呂釜みたいに
君にだけはいつだって誠実
そう
嘘を吐いてでも
君にだけは誠実
そんな愛情表現

2007/3/26 7:54

前へ/次へ
リストに戻る