彼はただひたすらに 幸せを望んでいた その術も形さえも 知らないまま探している 土を掻き 風に耐え 痛みこそが 代償であり 温もりや 安息は 罪であると 信じたまま 彼はただひたすらに 幸せを望んでいた その姿に光はなく ただ一筋の 涙が鈍く 闇の中を照らしてた 声は枯れて 胸は凍え 苦しみが 記憶を満たし これでいい これでいいんだ 醒めないように 繰り返す 彼はただひたすらに 幸せを望んでいた 指の間をすりぬけた 涙の形が 幸せにみえて 土を掻き 探している もう消えて風になった そのことも知っている この一筋の涙だけが 彼の明日を教えてくれる