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イントロダクション(或いはフェードアウト)



花が咲くみたいに
はっぱが枯れるみたいに
恋もある日突然、だけど
それなりの過程を経て到るのです

手と手が触れるだけで
通じ合ってしまう二人もいれば
もう脱ぐものもないのに
裸になれない二人もいるのです

そして僕はといえば
性懲りもなく
またちょっと変わった感じの花に足を止めました
痛い思い出より
甘く香る花に
足を止めました

朝起きてすぐに
誰かのことを想えるような
恋にも憧れつつ、如何せん
それなりに歳をとり冷めてしまいました

つないできた手に
いちいち意味や裏を感じてしまうのです
その体温だけが
意味であり真実であるのに

僕はといえば
飛び込む勇気もなく
またちょっと変わった感じの花に足を止めて
その花を摘めずに
ただ眺めているだけで
時間も止められずに

つないできた手に
ただただ戸惑って枯らしてしまうのです
その体温だけが
意味であり真実であり
僕のすべてかも知れないのに

2010/10/28 20:43

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