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繭ノ詩



アシタの一つ手前
闇に堕ちる刻
振り返る頃にはもう見えないような

足がちょうど一つ
ぴったり入る窪み
抜け出せずにいるから

私は自ら吐き出した
か細いイトを身に纏い
「イツカ」をじっと待つのです

アナタの目には映らない
雨に濡れるから
例えば私に見えない虹を
用意していると信じていたい

この痛みが
愛しいものなのか
それとも自分勝手なものなのか
アナタの痛みで教えてほしい

私は自ら吐き出した
か細いイトに阻まれて
「イツカ」に飛び立てないのです

私が吐き出した
冷たく細いイトがイツカ
暖かく感じることを
アナタの瞳に教わりたいのです

2010/12/9 21:45

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