歌で言うところの 音程より リズムより タイトルなんかより大切なもの 料理で言うところの 味より 匂いより 名前なんかより大切なもの それは君で言う 顔より 声より 性格なんかより大切なもの グルーヴみたいなもの 隠し味みたいなもの いろんな人と出会い 笑ったり傷付いたりして 色はないけど確実に存在している たとえば優しい人が その優しさを手に入れるまでに 出会った人、景色、痛み そんなものを想像してみる 目の前で愛する人が 僕の助けを必要とするときに とっさに差し出すべきものに たぶん形や色は無いと思うんだ 絵画で言うところの 画材より 色調より タイトルなんかより大切なもの できるだけたくさんのキャンバスに この愛を遺していたい 色褪せても すべて剥がれてしまっても 染み付いて消えないもの 消しゴムでも メラミンスポンジでも 特殊なクリーナーでも 記憶喪失でも消えない 消えやしないもの