北風



ドアを叩けば叩くほど
寄り添いあう恋人達
嫌われ者に疲れた僕は
窓の隙間に置手紙

風邪を引かないようにねって
精一杯強がったのに
涙で書いた冷たい文字は
読まれることなく暖炉の中へ

たとえば僕がもう少し
暖かかったなら違ってたのか
ドアを叩いても嫌がられずに
笑顔を見せてもらえたかな?

どうして僕は生まれたんだ
誰にともなくそっとつぶやく
愛の歌も哀しい詩も
僕が歌えば冷たく響くんだ

冷たい声が雪となって
恋人達を飾り付けた
その姿はとてもキレイで
何だか少し嬉しくなった

つまり僕が嫌われることで
二人の距離が少し縮まる
それでいいような気がしてきた
そのために生まれてきたんだ

ドアを叩けば叩くほど
寄り添いあう恋人達
「いつまでも幸せにね」って
窓の隙間に置手紙


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