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鏡 (no.185)



不誠実だけど
実用性ではとても優れた
そんな鏡を
覗き込んでみた

想像していたより
一回り醜い奴が映って
つい反射的に
叩き割ってしまった

気付いた時にはもう遅くて
脳に響くような痛みを手に入れた代わりに
どれだけ自分が醜いのかさえ
分からなくなってしまった

嘘は苦手だけど
平和主義なのが玉にキズな
そんな鏡を
覗き込んでみた

想像していたより
輝いている自分が映って
その反射光に
目をやられてしまった

築いてるモノより手にしてるモノに
もたれているうちにそれを愛と名付けてみたり
本当の自分はここにいるのに
旅に出たくなってしまった

割れた鏡の破片に
映る姿に気付けずに
愛と名付けたモノを頼りに
等身大の自分を
教えてくれる鏡を探している

1/28 20:49

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