350

ゆきうさぎ



冷たい街に
ばらまいた灯が
まるで星座みたいに
小さな僕に
優しい夢を
教えてくれた

冷たい街で
僕は生まれた
手袋越しの
君の笑う声が
くすぐったかった

手足もなくて
崩れそうだけど
こうして君が
そばにいてくれたら
自由なんていらない

冷たい風に
削られそうな
耳を澄ましている
小さな僕に
優しい歌を
聞かせてくれた

冷たい路地に
僕を残して
手を振りながら
君が消えていく
届かない部屋に

とても寂しくて
崩れたいけれど
せっかく君が
教えてくれた歌を
忘れたくないよ

冷たい街に
降り出した雨は
傷口にしみるけど
小さな僕を
優しい歌が
包み込むんだ

冷たい街から
僕は消えていく
君の思い出と
手を繋いで
まるで星座みたいに

2005/11/29 7:12

前へ/次へ
リストに戻る