453

雨と無知



最後に君が笑ったのは
痛いほどの夏の陽射しの真ん中
こんな未来なんか
微塵も感じていなかった
何も知らない僕らは
現実に寝転がっていた

細い針のような
無数の雨粒は
僕らの熱を奪いながら
思い出を引っ掻いていった
靴のかかとをすり減らすように
あくまで意味を持ち続けながら

何も知らない僕らは
いちいち運命と名付けて
それなりに真っすぐ歩いてる
傘を差しながら
空を見上げながら
君の笑顔によく似た
夏の陽射しの真ん中で
また出会うのだろう
悲しみや憎しみ
そしてそれをかき消す喜びと

2006/12/12 23:00

前へ/次へ
リストに戻る