511

街灯



街灯が照らすもの
その奥の光届かぬ場所
紺色は実像より遥かに伸び
朧げにでも確実に繋いでいく

街灯が照らすもの
記憶に惑い前向かぬ自身
優しさは時として雨のように蒼く
踏み固めたはずの大地を疑わせる

街灯が照らすもの
更に遠くの消すべき想いの残骸
蛍が夏の夜を歌うが如く
残像を確かにその瞳が追っていた

街灯が照らすもの
その奥の光届かぬ場所
保護された先端は増して鋭利で
雑多な憶測を嘲笑うように
貫き輝く
破片のように

2007/5/20 20:57

前へ/次へ
リストに戻る