527

illusion



それは優しく
ゆっくりとした時間

木の葉が舞うように
いつまでも地面に落ちないで
舞うかのような錯覚

とてもとても優しくて
僕は勘違いしたんだ
だからその奇跡に
日常と名付けた

落ちて乾いて
響いて初めて知った
むせかえるような
幸せな時間に
二人は舞っていた

それは優しく
ゆっくりとした時間

水の歌が聞こえるような
その旋律が途絶えないような
続くかのような錯覚

とてもとても優しくて
僕は勘違いしたんだ
だからその奇跡にさえ
失ってから気付いた

朽ちて汚れて
底にあったものを知った
溶けることさえできない
幸せな時間に
二人は漂っていた

それは優しく
ゆっくりとした錯覚

2007/9/8 17:22

前へ/次へ
リストに戻る