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tokyo colour
胸の奥にしまいこんでた
記憶の青に視界が染まる瞬間
水しぶきが空をやぶった
つまり僕の世界に覚めた
緑のソファーを駆け抜けていく
いつまでも衰えない青みがかった気持ち
忘れてたわけじゃない
口に出さないほうが大人びて見えるから
例えばこの世界に僕しかいないなら
赤く消えることもなかった
そして蘇ることもなかった
東京から発信するいくつもの時間が
屈折するその軌跡が楽譜みたいでいいね
もう今日から変身しよう
いつもの自分に
どんなにもがいたって褪せない色なら
愛せよってことなんだろう
カバンの奥に転がった金具
何かの部品なんだろうけど
時を経て朽ちる過程で
それは一つの意味と化していた
オレンジの空を駆け抜けていく
翼の群れがまるで胸の中の鏡
こぼさないように
手のひらに力を入れてそっと運んだ
この世界はそんな風にいつも脆くて
そして鮮やかで美しい
東京からばらまかれるいくつもの絵の具が
混ざりあっていつしか深い夜へと溶けていく
もう今日から明日へと虹はかかって
頭の隅に染み込んだ
どんなに引っ掻いても消えない色なら
愛さなきゃ仕方ないだろう
愛じゃないというなら相応の名を付けておくれよ
2009/5/4 20:18
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