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higan bana
背中を押してくれる手が
冷たくてなんか申し訳なくて
じゃあ頑張れるかといえばそうでもない
僕の手が一番冷たいと
僕の心が一番苦しいと
繰り返し思うことでなんとか
誰かに優しくありたいと
誰かを押す手でありたいと
思える弱い生きものを
燃え上がらせようと
線路沿いに赤い花が咲く
誰もがみんな孤独で
だから誰も孤独じゃない
必死で居場所を探して
視界が狭くなってぶつかって
謝りもしない
バカだな
その申し訳ない気持ちの先に
数少ない居場所があるのにな
僕の手が一番冷たいと
僕の心が一番苦しいと
競うべきではない部分しか誇れずに
誰かに優しくありたいと
誰かを押す手でありたいと
かろうじて願う生きものを
燃え上がらせようと
線路沿いに赤い花が咲く
背中を押してくれる手は
大抵冷たいってそのうち気付くんだよ
自分のことで精一杯だ
一つの体一つの思考で生きてんだ
僕の手が一番冷たいとか
僕の心が一番苦しいとか
繰り返し思っても口に出すなよ
出すのは優しい言葉だけ
出すのは背中を押す手だけ
小さく弱い生きものを
燃え上がらせようと
線路沿いに赤い花が咲く
2009/9/22 18:11
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