737

もし仮に



思い描いた通りの世界になんて
誰も暮らしてないだろうけど
なぜか自分だけうまくいかないような
そんな風にも思えてしまう

冬のとても寒いある日のこと
隣の家の飼い犬が
とても幸せそうな顔で
眠っているように見えた

これから仕事に向かう僕の目は
同じ義務を背負わないものを
幸せそうな顔に見せて
そして自分を不幸せに位置付ける

もし仮に
彼が口をきけたら…なんて
そんな仮定自体
幸せであることにあぐらをかきすぎて
足以外の部分まで痺れてしまったのかも

別れの言葉のひとつ前の
とても長いあのメールと
同じ振動で君からの
なんでもない内容の手紙がきた

夢から覚めないままの言葉は
何故か僕を暖めてくれた
意識よりさらに手前の場所に
僕をおいてくれている人がいる

もし仮に
それが口先だけだとして
そんな仮定自体
幸せに退屈であくびをするような
大切なものを傷つけてしまう仕草なのかも

思い描いた通りの世界になんて
誰も暮らしてないだろうけど
もし仮に
自分だけうまくいかないような
世界だとしても
受け入れることができたなら
思い描いた通りの世界に暮らせるのだろうか

2011/1/5 22:36

前へ/次へ
リストに戻る