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libra



libra
明日を引き寄せるリールが
錆び付いて動かない
libra
足元打ち寄せる自由が
冷たくて愛せない

libra
三月に降る雪のせいで
閉じ込めていた記憶が目覚めた
かじかむ手で水をつかむ
映る姿がまるで母親のように

「libra」

悲しい歌が好きな君は
僕の言葉を愛した
僕の手のなかでぬるくなって
痛みさえも感じない

優しい日射しを浴びた部屋は
そんな悲劇を彩る
風も傷さえも許された
ねじれの未来目指す

libra
雑踏を掻き分けるオールが
空回りで動かない
libra
いずれかに踏み込む理由が
増えすぎて選べない

libra
遠くの空に引っ掻いたような
飛行機雲を残す水色
不安定な机で文字を書く
「ご無沙汰してます」
「元気で暮らしていますか」

「libra」

悲しい愛と気付いても
それでもいいと抱き締めた
僕の手のなかでほどけたのは
絡まって赤く見えた糸

君の睫毛から手紙を伝い
僕の足元に落ちた滴
風も裏切りも手を繋ぐ
ねじれの未来目指して

2011/3/3 20:51

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