1
秋の田の かりほのいほの とまをあらみ
わが衣手は 露にぬれつつ
天智天皇
解読
「秋の田」は分かりますよね。
秋の田んぼです。
「かりほのいほ」というのは何かというと、「仮庵の庵」らしいです。
かりいほが縮まった形らしいのですが、何だ「仮庵の庵」って。
「いほ」を重ねて語調を整えてる、とありますが、言葉としてどうなのよ。
「仮免の免許」みたいな感じですかね。
「とまをあらみ」は「苫が粗いので」、「苫」ってなんじゃい。
駒大苫小牧の苫ですね。
「苫」で検索したら次のようなサイトが引っかかりました。
秋西に苫(とま)を覆え
秋に西風が吹くと雨が降るので、濡れてはならないものに覆いをしておくとよい。苫とは、茅で編んだ雨露をしのぐ用具である。
http://www2.ocn.ne.jp/~boresu/kotowaza/k-kisyou.htm
「気象に関することわざ」より引用
「茅」ってのは「かや」です。
かやぶきとかのかやです。
魔法陣グルグルのカヤではないですよ。
つまり、苫ってのはそれで編んだ用具、ムシロみたいなものだと。
それの目が粗い。
ボロボロってことですね。
「わが衣手は 露にぬれつつ」はそのまま、私の袖が湿っぽいと。
苫が粗いので私の袖が湿っぽい。
これは色々解釈できますよね。
@外は雨が降っていて、隙間から雨露が入ってきて濡れている。
A雨は降っていないが、早朝、朝露で濡れている。
Bあるいは、その苫の粗さに悲しくなり、涙で袖が濡れている。
C苫の粗さは今更どうでもいいが、秋はもの悲しくて泣いている。
「苫をあらみ」だからCは違いますね。
最初から読み直して考えてみましょう。
「秋の田んぼに建てた仮屋がボロボロなのでわが衣手は露にぬれつつ」
「つつ」は余韻を込めた表現らしいのでそれも反映してみましょう。
「秋の田んぼに建てた仮屋がボロボロなのでわが衣手は露にぬれてます…」
絵は想像できましたが何でそんな状態なのかが分かりません。
文献によると、主人公は田んぼの見張りをしているそうです。
寒いのにそんなとこで大変ですよね。
そりゃ歌も歌いたくなるわ。
って作者天智天皇かよ。
何してるんですかそんなところで。
天智天皇といえばあれですよ、中大兄皇子ですよあんた。
大化の改新ですよ。
そんなお方がなぜこんな歌を。
とか思ってたら原歌があるみたいですね。
万葉集の「秋田刈る仮庵を作りわが居れば衣手寒く露ぞ置きにける」が原歌らしいです。
パクリかよ。
いやいやいや。
原歌取りといって、古来の名作を下敷きにすることはよくあることなんですよね、雄山先生。
もとは、そういう農民の切なさを歌ったものであったと。
8810+13がアレンジしたらこうなりました。
戻る