春すぎて 夏きにけらし 白妙の
ころもほすてふ あまのかぐ山

持統天皇


解読

春がすぎて夏が来たらしい、ですって。
なかなか回りくどい。
そりゃ春がすぎたら夏でしょうよ、冬がきたら困ります、なんてツッコミは蛇足。

白妙ってのは白い布のことで、衣とか袂とかにかかる枕詞だそうです。
枕詞とか歌枕とかいう概念は深く考えないでください。
合言葉みたいなものだと思っていればいいんじゃないでしょうか。
山といえば川。みたいな。
東京生まれといえばヒップホップ育ち。みたいな。

ころもほすてふあまのかぐ山、は雰囲気で分かりますね。
あまのかぐ山ってどこじゃい。
奈良県に香具山ってのがありまして、それに神聖な山の意の美称「あまの」がついてるそうです。
はい、想像してみてください。
初夏。白い布。山。
さわやか極まりない。
マイリトルラバーの白いカイトあたりのノリですね。

ところでややこしいことを言いますと、「干すてふ」というのは伝聞表現なんですって。
「干している」じゃなくて、「干すんだってね」のような、人から聞いた的言葉。
じゃあ何だろう、実際には干してないんだろうか。

「春すぎて、夏が来たらしい。」
「真っ白な衣をあまの香具山に干すんだってね。」

どうでもいい歌になってしまいました。
むしろ、「真っ白な衣をあまの香具山に干すんだってね、あ、ほら、干してある、じゃあ夏が来たらしい」とか訳すんでしょうか。
回りくどいわ。

しかし、「真っ白な布」って夏って感じですよね。
洗剤のCMの背景も、どちらかといえば夏が似合うでしょうし。
青い空、白い雲、そして白い布。
さわやか極まりない。
この歌のポイントはさわやかさ。



8810+13がアレンジしたらこうなりました。

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