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錯視



優しさみたいなものと
自分勝手の狭間で
それっぽく揺れている

見る人が見れば
「彼は寂しいんだな」
「誰かにかまって欲しいんだな」
伝わるように
少し過剰なくらい

歩いていくことって簡単ですね
胸を張るのって勇気がいりますね
自分の背中はどうやったって見えないですね
世間体云々ってその部位を主に指すのに
見えないですね
見えないですね
背中も
何もかも

遠くの稲光に雨を予感する
もちろん本能じゃなくて
旅の途中で拾った
小石みたいな知恵

あの人にもう二度と逢えないかわりに
次に出会う誰かを傷つけるはずだった刺が折れた
この寂しさも
誰かの傘になればなあ
見返りがないと
独りすら受け入れられない

優しくすることは簡単ですね
人の気持ち考えるのって勇気がいりますね
本音のずっと奥にまた別の音があったりしますよね

愛だなんだと騒いだって
運命と呼んでみたって
見えないですね
見えないですね
気持ちも
何もかも

見えなくても
見ようとしてみる
少しだけ見えた気がして
だけど幻で
そんなもんだよなんて悟らずに
見ようとしてみる
見落としている
そしてまた見る
見えないものがいつか見えるようなそんな気になってみる

2007/3/31 20:41

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