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サマータイム



愛情表現にも色々あって
誰かにとってはただの痛みであっても全然不思議じゃない

たとえばこんな話
彼の愛情の侵入を
彼女は頑なに拒んだ
あとでシミになるのが
経験上分かっているから

それでも彼は諦めない
努力すれば報われるって
先生は言っていたから

誰も間違っちゃいない
受け入れることも混ざることもできない
透明だった体はひたすら曇っていく
そして見えなくなっていく

たとえばこんな話
彼は待ち続けた
彼女も待ち続けた
先に動いたほうが
負けのような気がしたから

二人の真ん中の
紅茶は冷めてしまった
お互い手の届く位置にあったのに
冷めてしまった

そして正しさを求めて
僕らはまた過ちを繰り返す
色んなものを引きずりながら
色んなものをすり減らしながら

2007/7/24 17:47

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